認知の方法
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認知の方法
《もくじ》
認知には5つの方法があります。
それぞれの内容と手続きを
ご説明します。
認知には「任意認知」と「強制認知」があります。
任意認知とは、文字通り、男性の意思に基づいて行われる認知手続きです。
他方、強制認知とは、裁判手続きなどを経て強制力によって認知の結果を生じさせる手続きです。
- 任意認知には、「胎児認知」「認知届による認知」「遺言による認知」があります。
- 強制認知には、「裁判認知」「死後の強制認知」があります。
以下では、それぞれの認知の意思を表示するタイミングを時系列で見ていきます。
胎児認知
子どもが生まれる前の胎児の段階で行う認知手続きが胎児認知です。
これは任意認知の一種で、
母親の同意があれば、認知を行うことができます。
胎児段階で行うことができる認知はこの胎児認知だけで、
強制認知手続きはありません。
出生の日から効力が発生しますが、
出生届を出さない限り、その記載はされません。
胎児認知の手続き
〈 届出人 〉
認知をする父(母親の同意は不要です)
〈 届出先 〉
母の本籍地の市区町村役場
〈 必要書類 〉
認知届
用紙は市区町村役場にあります。
母の承諾書
認知届の「その他欄」に記載することでも可能です。
認知届をする者(父親)の印鑑
いわゆるシャチハタ(朱肉不使用の印鑑)は避けた方がいいようです。
認知届をする者(父親)の身分証明書
顔写真付きを求められることが 多いです。
本籍地以外で認知届を提出する場合には、父、子の戸籍謄本各1部
任意認知
子どもが出生した後、父親は
「認知届の提出」あるいは「遺言」によって、認知をすることができます。
この手続きを任意認知といいます。
認知届による任意認知
「認知届による任意認知」は、
母親の同意もなく、父の意思によって手続きをすることができます。
ただし、子どもが成人している場合には、
子どもの同意が必要になります。
いつ提出をしても、認知の効力は出生の日まで遡ります。
認知届の手続き
〈 届出人 〉
認知をする父(母親の同意は不要です)
〈 届出先 〉
父親もしくは子の本籍地、
又は父の所在地のいずれかの市区町村役場
〈 必要書類 〉
認知届
用紙は市区町村役場にあります。
子が成人している場合には、子の承諾書
認知届の「その他欄」に記載することでも可能です。
認知届をする者(父親)の印鑑
いわゆるシャチハタ(朱肉不使用の印鑑)は避けた方がいいようです。
認知届をする者(父親)の身分証明書
顔写真付きを求められることが 多いです。
本籍地以外で認知届を提出する場合には、父、子の戸籍謄本各1部
遺言による任意認知
遺言による認知は、
父親自身が認知をしたかったが、生きている間には妻や家族の手前できなかったような場合に用いられます。
遺言を作った本人が亡くなった時点で効力を生じるので、子は父の死亡と同時に法律上父の子になります。
遺言で子どもを認知する際には、遺言書に次の事項を記載します。
- 子どもを認知する旨
- 子どもの母親
- 子どもの住所、氏名、生年月日、本籍、戸籍筆頭者
遺言書の記載例
遺言者田中一郎と山田花子(昭和○年○月○日生)との間に生まれた下記の子を自分の子どもとして認知する。
住所 東京都○○区○○町○丁目○番○号
氏名 山田次郎
生年月日 平成○年○月○日
本籍地 東京都○○区○○町○丁目○番○号
戸籍筆頭者 山田花子
遺言認知をするときは、遺言執行者を定めておく必要があります。
遺言執行者が定められていない場合は、
相続人が家庭裁判所で遺言執行者選任の手続きをしなければなりません。
子供を認知する遺言書が見つかった場合、
遺言執行者は就任から10日以内に認知の届け出をしなければなりません。
遺言執行者による認知の届け出
〈 届出人 〉
遺言執行者
〈 届出先 〉
①遺言者の本籍地、②子供の本籍地、③遺言執行者の住所地のいずれかの市区町村役場ですが、
認知する子供が胎児の場合の届け出先は、母親の本籍地の市区町村役場に限られます。
〈 必要書類 〉
認知届
遺言書の謄本
子が成人している場合には、子の承諾書
子が胎児の場合には、母の承諾書
- 認知届出書に遺言書など必要書類を添付して提出します。
- 認知する子供が成人している場合は本人の承諾書が必要です。
- 認知する子供が胎児の場合は母親の承諾書が必要で、届け出先は母親の本籍地の市区町村役場に限られます。
裁判認知(強制認知)
父親が任意認知をしてくれない場合、
子や母親は、
裁判所の手続きを通じて、
父親に対して認知を求めることができます。
Step1:認知調停申立
まず、家庭裁判所に対して、認知調停申立を行います。
原則として、裁判よりも先に調停をしなければなりません。
例外的に父が死亡した後の認知については、調停を経ずにいきなり訴訟をすることができます。
調停は、調停委員を挟んだ話し合いを通じて認知を求める手続きです。
調停手続きにおいて、当事者間で合意が成立した際には、
裁判所がその合意内容を正当と判断したときに「合意に相当する審判」を行います。
この審判が確定すると、認知の効力が発生することになります。
〈 申立人 〉
子、子の直系卑属、子又は子の直系卑属の法定代理人
〈 申立をする裁判所 〉
相手方の住所地を管轄する家庭裁判所
又は、当事者が合意で定める家庭裁判所
Step2:認知の訴え
調停によって当事者の合意が形成されずに、調停が不成立となった場合には、
裁判所に訴えを起こします。
調停の場合と異なり、裁判手続きにおいては、
生殖上の父子関係等を明らかにするための手続き(DNA鑑定等)を行い、
裁判所が父子関係の有無についての判断を下します。
もちろん訴訟に移ってからも当事者の合意がととのえば、和解を成立させることができます。
判決が確定した時点で、認知の効力が生じます。
〈 原告 〉
子、子の直系卑属、子又は子の直系卑属の法定代理人
〈 訴訟提起をする裁判所 〉
原告または被告の住所地を管轄する家庭裁判所
または、当事者が合意で定める家庭裁判所
死後認知の場合には、父親の最後の住所を管轄する検察庁を被告として、その住所を管轄する家庭裁判所に提起することになります。
Step3:認知届の提出
裁判の確定日(審判確定日または判決確定日)から10日以内に提出しなければなりません。
提出が遅れると過料の対象になります。
〈 届出人 〉
審判の申立人
〈 届出先 〉
父親もしくは子の本籍地
又は父の所在地のいずれかの市区町村役場
〈 必要書類 〉
認知届
裁判の謄本および確定証明書
父、子の戸籍謄本各1部(本籍地以外で出す場合のみ必要)
届出人の印鑑
いわゆるシャチハタ(朱肉不使用の印鑑)は避けた方がいいようです。
届出人の身分証明書
顔写真付きを求められることが 多いです。
※裁判認知の場合は子が成人でも承諾書の添付は不要です。
死後認知
認知をしてほしいが、すでに父が死亡している場合に
死後認知という手続きがあります。
父親の死後3年以内に、父親の最後の住所地を管轄する検察庁の検察官を相手として訴えを提起します。
これが認められると、子どもは、出生時から父親の子どもであったと見なされます。
この手続きでは、死亡した父親の遺族の方を探し、
その方々にDNA鑑定の協力をいただいて、父子関係を証明していかなければなりません。
DNA鑑定自体は強制力がないので拒否するご遺族の方もいらっしゃいますが、DNA鑑定が出来ないからといって直ちに死後認知が認められなくなるわけではありません。
認知手続きは、お相手の協力あるいは裁判所手続きを経て初めて実現するものです。
よくわからない、あるいはお相手と連絡をとりたくない、お相手に連絡を拒絶された等の場合には、
諦めずに弁護士にご相談ください。
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